メンフィス10(検索用:Memphis-10、M10、M-10)に関する質問が、非常に頻繁に寄せられますので、私の備忘録も兼ねて、こちらに集約しておきます。
"Memphis-10"は、トゥルーテンパー社製のシャフトで、Callaway社だけに供給される(た)、OEM(original equipment manufacturing:相手先商標製造)シャフトです。
"M10"の開発当時は、スチールと云えばダイナミックゴールドを代表としたハードなシャフトばかりで、今のように軽量シャフトなどほとんど存在しませんでした。
Callaway社はせっかく開発した画期的な思想のアイアン(s2h2※)に、開発コンセプト(Enjoy Golf)と一致する中軽量シャフトを求めましたが、残念ながらCallaway社が求めるシャフトが市販品に見当たりませんでしたから、トゥルーテンパー社と共同して、このシャフト(M10)を開発したわけです。
※s2h2:Short Straight Hollow Hosel
Callaway社のクラブのために開発されたOEMシャフトですから、当然、当時からCallaway社にしか供給されない契約が結ばれていたと考えられます。
現在もCallaway社の製品にしか供給されませんし、新品シャフトのみを入手することはまず不可能です。
"Memphis10"の名の由来はというと、メンフィス(Memphis)はテネシー州(Tennessee)の州都でトゥルーテンパー社の本社があり、"10"は10点満点の10点(Ten)とテネシー州(Tennessee)の略号Tenn.を採用したそうで、更に"Finest Quality"のプリントは、ダイナミックゴールドとメンフィス10にだけプリントされているんだそうです。
(ですが…オデッセイパターのスチールシャフトにも"Finest Quality"の文字があるのは何故?)
"M10"には、複数の種類がありますが、古いシャフトの詳細はメーカー(日本法人)でも把握できてない(ホントかな〜?)そうです。
確認されているだけでも、M10 Gold、M10 Silver(Goldと同一でシャフトバンド変更だけ?)、M10'98、C.W.S.(モデルにより各種存在)、UNI Flex Steel、Memphis Tour、M10DB etc があり… マニアの間では「メンフィス10系(M10系)」と総称されています。
更に先端カット量が違ったり… アイアンに挿されたモノととウッドに挿されたモノでも"感じ"が変わりますので、非常に"謎"の多いシャフトです。
※詳しくはLINKにあります"I.G.E JAPAN"さんの研究室(WOOD編)を御覧下さい。
マニア必見です! (現在、研究室は閉鎖中)
メンフィス10系のシャフトは、全てユニフレックス(SR相当)という設定ですが、スインガーからセミハードヒッターまで幅広く適応します。
ヘッドスピードが遅めの方や切り返しが緩やかないわゆるスインガーの場合は、シャフトの先側が撓ることで球が上がりやすく、捕まりも良くなり…
ヘッドスピードが速めの方や切り返しが激しめのヒッターの場合は、手元側が撓ることで捕まり過ぎや吹け上がりを押さえて…
幅広いタイプの方々にとって、タイミングが取りやすいフレックス設定になっているとのことだそうです。
要は、ステップの配置などにより、キックポイント(屈曲点)が2点あると云うことでしょうか…
当初、Memphis "10"の多くは、US仕様の標準スチールシャフトとして、日本に入ってきました。
当時は、メーカー装着の単なる廉価版の安物シャフトと云うイメージで捉えられましたので、大した人気もなかったようですが、その使い心地や素晴らしい性能から、「思ったよりイイぞ! このシャフト…」という口コミで、徐々に知られた存在になっていきました。
…がそれもあくまでキャロウェイのマニア間でだけでした。
しかし、その後、当時、賞金王となった谷口徹プロ(当時はCallawayの契約スタッフプレーヤーでした。)が、メンフィス10(ツアー?)を愛用していることが報道されるや、「プロも使うシャフト、メンフィス10って何だ?」と、俄然、注目され始めました。
また、昨今の軽量シャフトブームや最近では丸山プロがメンフィス10を使ったこと、また、アニカ・ソレンスタムの大活躍も相まって、ますます注目されているシャフトです。
キャロウェイ日本法人もやっとMemphis "10"を見直したのか? X-16以降、"M10"シャフトには、従来からカスタムオーダーで発注できた"M10'98"に加え、"M10DB"というシャフトが、日本仕様のカスタムオーダー(特注)限定シャフトとしてラインナップされました。
"M10DB"は、"M10'98"よりシッカリ感があり、"Stiff"相当のフレックスとのことで、私がX-16Proをカスタムオーダーした際には、キャロウェイジャパン一押しのシャフトとのことでした。
Memphis "10"系シャフトのフレックスは、全てユニフレックス(SR相当と言われる)ですが…
非常に感覚的ではありますが… アイアンに装着された"M10'98"はRに近いSRという感じ、M-10DBやC.W.S.などはSに近いSRという感じがしますし、使った皆さんの感想も同様のようです。
これが、Memphis 10 "Gold"と呼ばれ…
M10 Gold
文字通り、金色のシャフトバンドが印象的なシャフトです。
Memphis 10 "Silver"は、この金色の部分が銀色で、M10DBソックリのシャフトバンドです。
ステップの配置は、M10"Gold"もM10"Silver"も同じようですので、同一シャフトでシャフトバンドの変更とも考えられます。
"M10"系シャフトでの一番人気は何と言ってもやはり"M10'98"でしょう。
一番人気のM-10'98…
人気の理由は、US仕様のX-12やSHに標準シャフトとして採用され、最も馴染みの深いシャフトであることと、メンフィス10系の中では重量的にも"M10'98"は若干ながら軽く、かつ、柔らかく感じられ、万人に受け入れられやすかった、昨今の軽量シャフトの先駆けとも言えるシャフトだからでしょう。
不思議なことに、アイアンに装着された"M10'98"は、やや柔らかく感じられるのですが、ウッドに挿された"M10'98"はややハードに感じられます… これもユニフレックス設計のなせるわざなのでしょうか?
コンスタントウェイトスチール(C.W.S.)、コンスタントウェイトユニフレックススチール(C.W.U.S.)は、X-14、SH+、BBI2002&2004など多くのモデルに採用され、メンフィス10系の中では最も種類が多岐に渡るシャフトで、最も謎の多いシャフトです。
同じC.W.S.、C.W.U.S.と呼ばれるシャフトでも、設計(ステップの配置や数)が全く違ったり… 同じシャフトでもチップカット量やバットカット量、装着方法などによって明らかに"感じ"が変わってしまうシャフトですから、奥が深いんですよね…
US仕様 Constant Weight UNI Flex Steel
基本的にM10'98より、重量感が増し、"しっかり感"も増したようで、US仕様のX-14を使った方は一様にM10'98よりハードになったとおっしゃいます。その反面、"M10'98"のようなシャープ感は少なくなり、ともすれば鈍い感じとも言えるシャフトです…
US仕様のX-14に装着されたC.W.S.は、ステップの配置がメンフィスツアーと同一で、グリップの下にはM-10 Tourなるプリントが確認されています(BBI2002のC.W.U.S.にも…)が、いわゆるM-10 Tourとは重量(C.W.S.=108g、M-10 Tour=125g)が異なることから、違うシャフトのようですね…
M10にはこのようなことが多々あるから更に謎が深くなるのです…(笑)
フォージドウェッジには"M-10 Tour"が装着されていますが、ウェッジ用でかなり重く、硬いシャフトのようで、ダイナミックゴールドのウェッジフレックスよりハードな気がします…
ハードなM-10 Tour
メンフィス10DBは、X-16以降、日本仕様でのカスタムオーダー発注が可能になったシャフトです。
中調子で捕まりの良いシャフトです…
使った私感を述べると、C.W.S.にシャープ感を加え、やや重く硬く仕上げたという表現にが良いかと思います。重量的にはダイナミックゴールドより10gほど軽いため、中軽量シャフトに分類されがちですが、案外と手厳しいシャフトで、なめてかかると痛い目に遭いかねません…
シャフト重量が重め割には、かなり撓り感が強いため、使い手を選ぶシャフトとの評判が強いのです… このシャフトの本当の潜在能力を引き出すためにはかなりの腕が要求されるでしょう…
シャフトバンドが、メンフィス10シルバーとソックリですが、ステップの配置が違うので別物のようですね。
ツアー支給のアイアンに装着されているいわゆるM-10 Tourは、このシャフトのようです…
でも、DBって、何を意味するんでしょう…?
DBとは、一説には"ダブルバット"とも言われるし、"ダブルベンディング(Double Bending)"とも思える… 要するに屈曲点(キックポイント)が2つあるというユニフレックスの設計思想を表していると云うことですが… ほんと… よう解らんシャフトじゃ…(笑)
センシコアの効果って毎日使うと判るんです…
"X-14"の日本仕様のプロスペック1および2(コンスタントウェイトセンシコアゴールド)は、メンフィス10系とは言えないでしょうが… こちらの方が(US仕様のC.W.S.より)ややハードに感じられて、ダイナミックゴールドからの転向にはイイかも知れませんね。
スチールヘッド+(フェアウェイウッド)に採用されたスチールシャフトは、今までにない使いやすさで、当時から今でも大人気です。
それまでのM10'98に較べると、かなり軟らかかったため、フェアウェイウッドにスチールシャフトを挿すのを躊躇していた人達にも受け入れられたスチールシャフトと言えるでしょう。
この万人に受け入れられた使いやすさは、コンスタントウェイトという設計思想の導入とチップカットの量などが、複雑に影響して誕生しました。
※ここら辺の詳しい研究は、"I.G.E JAPAN"さんの研究室(WOOD編)を御覧下さい。(研究室は現在閉鎖中)
スチールヘッドVに採用されたユニフレックススチールは、適度なしっかり感と撓り感を兼ね備え、フェアウェイウッドには最適のスチールシャフトだと思うのですが、これはあくまで私感です。
SHV UNI Flex Steel
ビッグバーサにもSHVと同様のユニフレックススチールが採用されています。SHVに装着されたユニフレックススチールと同じモノですが、SHVより若干柔らかめに感じられます… これはバランスが大きめでヘッドが効いているからでしょうね…
BB UNI Flex Steel
ユニフレックススチールは、ハイブリッドクラブのヘブンウッドにも採用されましたが… このクラブに挿されたユニフレックススチールの柔らかさと言ったら… スチールヘッドプラスに挿されていたコンスタントウェイトスチールを彷彿とさせる柔らかさです… チップカット量やバットカット量の違いでココまで"感じ"が変わるシャフトも珍しいですよね…
先にも述べたとおり、Memphis "10"は、Callaway社専用のシャフトですし、新品でシャフトのみを入手することは、まず不可能です。
ですが、リシャフト用に欲しい人は多いらしく、中古でも結構な高値で取り引きされています…
多くの人が、Memphis "10"に似た感じのシャフトを必死に探していますが…
性質が似ていると思われる、同じトゥルーテンパー社製のシャフトから探すとなると…
M10DBやC.W.S.だったらダイナライトゴールドと、M10'98だったらダイナミックゴールドライトやTX-90などと重量帯が近いのですが、どうも感覚的に"違う"ようですね…
私感では、M10DBやC.W.S(Memphis Tour?)でしたら、チョイと重めですがダイナミックゴールドセンシコアのR300がなかなか良いのではないかと思うのですが…
M10'98と同じ様な重量帯で、あの撓り感としっかり感を両立した中軽量シャフトはまず無いですね… しかし、"TT LITE XL"はSRフレックスの中調子シャフトですから、かなり似た感じかもしれませんね…
でも、どれだけキャロウェイマニアが、このシャフトにこだわったとしても…
"メンフィス10"って… 知らない人から見たら何の変哲もない"廉価版の安物シャフト"と区別が付かないんですがね…(笑) 不思議な魅力を持ったシャフトですね…
以下は余談ですが…
2003は丸山茂樹プロが、首痛を克服し見事3年連続3回目となる"PGA TOUR"優勝(クライスラー・クラシック・オブ・グリーンズボロー)を飾られましたが、その時の使用シャフトが"Memphis10"だったという"まことしやかな噂"が…
優勝したクライスラー・クラシックの前々週に丸山茂樹プロはサザン・ファーム・ビューロー・クラシックで第3位になり復活の口火を切ったのですが、その翌週に更新されたトゥルーテンパージャパンのHPでは、なんと丸山茂樹プロのアイアンシャフトが"メンフィス10"と記載されていました!(M10DBでしょうか?)
その後、クライスラー・クラシックに優勝した訳ですが、その翌々週にはサザン・ファーム・ビューロー・クラシックの欄も併せて"トゥルーテンパー・オリジナル"と修正されていました。
これは何を意味するのでしょうか?
丸山茂樹プロはB社の"看板"契約選手です…
何があったのか、想像するとチョット面白いですね…(笑)
2003年首痛をおしてUSPGAに参戦を続ける丸山プロが、ダイナミックゴールドから切り替える中軽量シャフトを探す過程において、"M10"を選択した(もしくはトゥルーテンパー社が推薦した)ことは、ダイナミックゴールドから違和感が少なく移行できる中軽量シャフトって他に少ないですから、必然といえば必然ですね。
でも、世界の"Smiling Assassin MARU"が"M10"を使っているとしたら、キャロウェイマニアとしては誇らしい気がしますね!
このまま使い続けて、メジャーを勝って欲しい…